こんにちは!CATER(ケイト)です。
今回は、宮口幸治著「ケーキの切れない非行少年たち」から学んだことを紹介していきます。
そもそもなぜ非行に走ってしまうの?
どれくらいの人たちが非行に走る危険性があるだろう?
非行に走らせないために、私たちができる具体的な対応って何?
非行を行うのは少年に限らず、大人になっても迷惑・犯罪行為をする人がいますよね
皆さんも今までの生活の中で、何度か”非行”をする人を見聞きしたことがあるかと思います。
交通規定を守らず、自分たちの享楽のために危険運転をする車両など、他人の迷惑になることも省みない自己中心的な行動は、全く関係ない何の罪も無い人を巻き込み不幸にする可能性があります。
行き過ぎた力の使い方をしたせいで相手に大怪我をさせたり、時には命まで犠牲になるニュースが後を絶ちません。
ただ、本書はそれらの出来事を認知したとき、単に「全く理解不能だ」とか「社会の〇〇だ!」と、短絡的に考えてしまうことについて「待った!」をかけます。
そして、我々の理解があれば、そんな”非行”を犯してしまう人に同情し、良き方向へ導ける術があるのだということを示してくれます。
著者は精神科医、臨床心理士、医療少年院などでの経験から、理想論ではない現実的な方法を提唱しています。
他でもない我々自身が”非行”について学ぶことで、いつか非行に走る人を止め、社会悪を無くし、悲劇の犠牲者を生まずに済むかもしれません。
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それでは本題に入ります!
そもそもなぜ非行に走るか
いくつかの三角、四角、丸、線で作成された複雑すぎない図形があるとします。
それを書き写すとして、恐らく多少苦労はするでしょうが大体の人は、位置関係や大きさがほぼ合致した図形を模写できるかと思います。
しかし、”非行少年”と呼ばれる子どもの中には、部分的には三角や丸があるものの、見本のそれとは全体の構造が全く異なる図を描くことがあります。
それを見て、「絵を描くことが苦手なんだな」とか「集中力がないんだな」、「やる気がないんだな」という納得をしてしまったら、それは大きな誤りかもしれません。
上手く描けない子どもたちは、「そもそも入ってきた情報を歪んで受け取っている」危険性があるのです。
描写能力や記憶力、集中力云々以前に、五感で感じたことを誤った形で認識しているのかもしれないのです。
そんな状態の子どもにいくら勉強だったり正しい生活態度だったりを教え込もうとしても意味がありません。
まず取るべきアプローチは、正しく認識できるだけの「認知能力」を高めることなのです。
にも関わらず、周りの人間が早々に「怠けている」や「ふざけている」などの評価をしてしまえば、益々能力を養う機会が失われていきます。
大勢の同い年と生活する学校内で、他の人ができることがいつまで経ってもできずに周りから「落ちこぼれ」扱いを受けるかもしれない。
いじめを受けることなどあれば、健全な心など育まれるはずがありません。
他の人が見ているように自分も同じ見方ができないというのは、学校や社会でどれほどの生き辛さを感じさせるでしょうか。
そして、心理学に「ラベリング効果」というものがあります。
周囲の人がある人に対し「あの人は良い人だ」というラベルを貼る(=印象を持つ)と、その人は本当に良い人間になるというもの。
これは逆も然りです。
よって、まずは対象の人が物事を正しく認識できる能力があるかどうかを見定めなければなりません。
歪んだ受け取り方しかできなければ、いくら教育を施そうとしても無意味です。
そして、周りの無理解のせいでその子どもの能力が見限られ、劣等感を抱かせてしまえば、余計に意欲を無くし非行に走るという、負の循環に陥っていきます。
まず、正しい認知能力が備わっているかどうか。
ここを確認しないままに周囲が見限ってしまうのは、非行への後押しと同罪かもしれません。
非行に走る危険性がある人の割合
本書内で、現在「知的障害」認定されるのはIQ70未満の人で、人口全体の約2%だと言います。
しかし同時に、IQ100未満では世の中はしんどいものだとも言っています。
では、IQ70〜85はどうかというと、なんと人口の約14%もいるのだそう。
いわゆる”グレーゾーン”というやつです。
断っておきますが、この14%がそのまま非行をするという意味ではないのでそこは間違えないで下さい。
ここで、もし「IQが70以上あります」という診断がされたとしたら、それはもう障がいではなく、他の健常者と同列に扱われるということなのです。
健常者なのに忘れ物が多い、遅刻が多い、ミスが多いとなれば、それは怠けだとか性格のせいにされてしまいます。
本人は真面目に向き合っているはずなのに、周りについていけずに差がつく、バカにされる、いじめを受けるなどで歪んでしまうのです。
IQや認知能力はグラデーションのようなものです。
本来、「どこからどこまでが障がい」などというような線引きは存在しません。
「障がい者」ではなくとも学習能力や認識能力が不得手な人は決して少なくないということは、一般常識として心得ておきたいものです。
何をすれば非行に走ることを阻止できるか
では、具体的にどのようなことをすれば非行を阻止できるか、ということについて紹介していきます。
とはいっても私個人、非行をする人はいなくならないし、いじめもなくなることはないと思っています。
人はどうしても、「こちら側」と「あちら側」で分けたくなるもので、どうしても「敵」を作りたがるものではないでしょうか。
もしも地球外生命体が宇宙から地球を侵略してきたとしたら、きっと”こちら側”の地球人は手を取り合って協力するはずです。
しかしそんな「敵」はいないから、地球の中で国家間や人種間での争いが絶えません。
スポーツや漫画、アクション映画だって「敵」がいるから人が夢中になるのです。
”こちら側”というグループを作り、”あちら側”を目の敵にするというのは、生物学的に仕方のないことなのかもしれません。
また、ガンという病気は、ガン細胞が身体を蝕むことで起きる病気ですが、ガン細胞というのは0か1かではなく、健全な人の身体でも細胞分裂の際の”エラー”として生まれています。
免疫機能が働いているおかげで、ガン細胞を非力のまま無力化できているのです。
どんなに健全な環境であっても、細部の”悪”はどうしたって生まれてしまうものなのです。
だから私は、非行やいじめを「一切なくそう!」などという非現実的なことは言いません。
非行やいじめは起きるものだとした上で、自分には何ができるかを考えるべきだと思うのです。
それでは、本書で得た知見からその方法について考えてみます。
取るべきアプローチとして紹介されているのは、「社会面・学習面(認知面)・身体面」の教育です。
「社会面」、すなわち”常識”的な強化については、「他者との関わり」が必要不可欠であるとしています。
他者との交流を通じ、比較することによってはじめて、自分にはどのような特徴があり、得意・不得意があるなどの自己理解をすることが可能なのです。
また、その際は大人からのアプローチのみならず、同世代との付き合いが成長を促進させるといいます。
同じ歳のハズなのに、あいつにはできて自分ができないのは嫌だという競争心であったり、あいつにはできないことが自分にはできるなどの自信であったりを自覚できるからです。
「学習面(認知面)」については前述したように、見聞きしたものを正しい形で認識するために必須です。
本書には言葉遊びや道具を用いた、遊びながら学習できるトレーニングが紹介されています。
著者は「コグトレ」と呼んでいるので、調べてみたら出てくるかもしれませんね。
「コグトレ」をまとめた著書も出しているそうですよ。
ただ、頭でっかちに「頭を良くするには机に向かって知的活動するのが一番!」とするのは、個人的には悪手だと思っています。
外に出て自然に触れる、友人と遊ぶ、何かができるようになるなどの経験は、ただ知力を上げるよりも重要なことで、むしろ相乗効果でより良い結果に繋がるものだと思います。
「ゲッツェルス・ジャクソンの法則」という創造力についての法則もあるので、興味があれば調べてみてください。
最後に、「身体面」。
これは、意図した方向とは別の方向に物を飛ばしてしまう、力加減ができずに物を壊す、他人との接触で怪我をさせてしまうなどが支障として挙げられます。
また、知能とは異なり、日常生活や運動の時間で周囲の目に触れるため隠すことが難しいのが欠点です。
身体面のアプローチは机上ではなく、「コグトレ」や日常生活を通じて身体に覚え込ませるしかありません。
脳の「前頭葉」という部分は、「思いやり」や「自分の行動を省みる」などの”ブレーキ機能”と言われているので、「前頭葉」を活性化させる活動をするのは良いかもしれません。
ちなみにその「前頭葉」を活性化させる活動こそ、自然に触れたり、運動したりすることになります。
結局、よく食べよく学びよく遊びよく眠る。
これこそが健全な人を育む絶対解かもしれませんね。
まとめ
1|そもそもなぜ非行に走るか
→ 正しい認識機能がないために入ってきた情報を歪んで認識している危険性があり、それが生き辛さになっているから。
2|非行に走る危険性がある人の割合
→ 「障がい」認定はされないいわゆる”グレーゾーン”は人口の約14%(この数値内にいる人が非行に走るというわけではないが、生き辛さを感じやすい)。
3|何をすれば非行に走ることを阻止できるか
→ 社会面・学習面・身体面から働きかける。「人との関わり」「学習トレーニング(コグトレ)」「遊び」を掛け合わせる。
以上で宮口幸治著「ケーキの切れない非行少年たち」の紹介を終わります。
いかがでしたでしょうか。
本書内に記述されていたのですが、非行少年を相手する教師や医師の中でも「そもそも物事を正しく認識できる能力が備わっていない」ということさえわかっていなかった人が大勢いたそうです。
そして、過去においては著者もその一人。
どれだけ世の中が「非行少年」に対する理解がないかを思い知らされた一冊でした。
少年心理に理解ある大人が増えたら、きっと良い社会になりますよね。
無関心の世の中に一石投じた良書だと思います。
今回紹介した内容は書籍のほんの一部に過ぎず、まだまだ沢山の知識、知恵、アドバイスなどが掲載されていますので、是非実際手に取って読んでいただきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みをダイレクトに解決する何かと出会えるかもしれません。
SS(書籍最高)!
それではまた。
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