こんにちは!CATER(ケイト)です。
今回は、細谷功著「「具体⇄抽象」トレーニング」から学んだことを紹介していきます。
抽象的とか具体的って、そもそもどんな違いがあるの?
ニュース、ネット…
話が堂々巡りしている!一向に噛み合わん!なんでだ??
「具体⇄抽象」が得意になるとどんな良いことがあるかな?
世の中には様々な「抽象-具体関係」のものがありますよね
皆さんはどんなものを思い浮かべますか?
本書のサブタイトルには「思考力が飛躍的にアップする29問」とあります。
著者抜粋の演習問題を解きながら読み進めるので、余計に引き込まれます。
考えて解くことを繰り返すので、深い理解に繋がります。
こういった問題は絶対に明確な答えというものはないので、自由に考えることができるのが楽しいですよね。
読後は、「具体と抽象の違いをはっきりさせることが、ここまで目から鱗の衝撃だとは!」という感想でした。
少しでも私が感じた衝撃を以下で伝えられていればと思います。
- 本ブログでは、私が実際に読んだ書籍から「勉強になった!」「気持ちが軽くなった!」などの学びや感動を紹介しています。
- 普段読書をしない方にも紹介する書籍の魅力が伝えられるようなブログ運営を目指しています。
- 願わくば、本ブログで紹介した書籍に興味を持ち、好きになっていただけると嬉しいです。
- よろしければ感想など、コメント欄にコメントをお願いします。
それでは本題に入ります!
抽象と具体の違い
早速ですが、抽象と具体の違いは何でしょう?
以前、私の会社の上司がある教訓を教えてくれ、まさに具体と抽象の違いだと思えたものがありますのでご紹介します。
「大阪城の火事」というものです。
安土桃山時代、大阪城にて豊臣秀吉が家老たちに「今夜は風が強く、火事になりやすい。火の元には十分気を付けろ」と指示した。家老たちはその下の奉行たちに「今夜は風が強く、火事になりやすい。火の元には十分気を付けろ」と指示し、また奉行たちもその下の見張りの足軽たちに「今夜は風が強く、火事になりやすい。火の元には十分気を付けろ」と指示した。だが結局その夜に大阪城で火事が起こってしまった。
大阪城の火事-Wikipedia
ちなみに史実にはない出来事なので、例え話なのだそうです。
この教訓は、抽象的ではなく具体的な指示を出さなければ、指示を受けたとしてもどう動けば良いかわからないのであるから、手間を省かず細かく指示すべきである、というものです。
抽象とは、事柄を包括的に捉え、短時間で済み、一言でまとめられるようなことを言います。
上の例で言えば、「火の元には十分気を付けろ」の指示のことです。
対して具体とは、一つ一つの物事に個別に対応し、時間が掛かり、詳細に説明するようなことを言います。
上の例で、もし豊臣秀吉が具体的な指示を出すとするならば、「屋外で独立させているかがり火があれば今夜はしまいなさい」「屋外で火を焚く行為は厳に慎みなさい」「足軽は火の元に最低一人常駐させなさい」といったところでしょうか。
一見、「具体的であればあるほど明瞭だからその方が良い」と思えます。
しかし、常にそうとは限りません。
例えば上の例で豊臣秀吉が、さらに火の元の扱いについて、かがり火の個数だったり、調理方法の注意事項だったり、夜間警戒員の人数や配置だったりを事細かに指示したとします。
ですが、各現場について隅々まで把握しているわけではないでしょう。
各持ち場で火の扱いについて気を付けるべきことも違うはずです。
豊臣秀吉が火の扱いの指示について何時間も費やしていたら、他の業務に支障も出るでしょう。
だから、”上”にいる者は一言、「火の元には十分気を付けろ」だけで十分かもしれないのです。
豊臣秀吉が”下”の人間に合わせて指示をしてしまっては、それはそれで問題なのです。
”下”の者も抽象的な指示について自分の頭で考えて、すべきこと、できることを行動していたなら、火事を防げたのかもしれません。
「抽象的な指示だからわかんねえよ!」と無責任に文句垂れてる場合ではないのです。
だから、組織の上部にいる家臣に指示をし、その家臣から下の部署に指示をし、さらにその部署から末端まで伝える。
このような、ピラミッドの頂点と底辺のような関係性こそ、抽象と具体の関係性と言えます。
1つの抽象(頂点)に対して、何十、何百、何千、何万と無数に広がっていく具体(底辺)。
この構図は、我々の生活の至る所にも見られます。
「組織と個人」「国家と国民」「先生と生徒」「法律と事件」…キリがありません。
抽象と具体のピラミッドの関係性、そして自分はどの位置にいるかの確認。
”上”がすべきこと、”自分の位置”がすべきこと、”下”がすべきこと。
この構図をわかっているのとそうでないのとでは、人生のあらゆる場面における”解像度”が違ってくるはずです。
「大阪城の火事」は、一体誰の責任で起きたのか。
本当に具体的指示を怠った豊臣秀吉の誤りが招いたことなのか。
今一度よく考えてみて良いかもしれません。
噛み合わない会話をなくす
抽象と具体はピラミッドの頂点と底辺の関係であると述べましたが、そこにはある特徴があります。
それは、上から下を見ることはできるが、下から上は見ることができない、というものです。
マジックミラーのようなものと考えていただければ結構です。
抽象的な立場のものは、1つ、もしくはごく少数のことしか選ぶことしかできません。
ちょうど、雪国の人から南国の人まで揃った室内でも、空調の温度は1つしか設定できないようなものです。
ピラミッドの上にいる人は、下方には暑い思いをする人も、寒い思いをする人大勢いることは重々承知した上で、それでも最大多数が幸福になったり、効率が最大化したりするような設定をしなければなりません。
しかし、雪国の人と南国の人、その間には何千万、何億人といるわけです。
1つの頂点と無数に広がる底辺。
ある部分の人にとって摩擦が生じるのも無理はありません。
本書には以下のように書かれています。
そこで頻繁にみられる「不毛な議論や無用な軋轢」の大部分は、本書のテーマである「具体と抽象」が混同されていることに原因があります。例えば、「客観的な一般論に対しての主観的かつ個別論からの反論」などはあまりに頻繁に起こっている不毛な議論ですが、ここでの問題はその当事者同士が「違う側面を議論していることに気づいていない」ことにあります。(p.59)
「具体⇄抽象」トレーニング|細谷功
「お前は間違っている」とか「この意見のほうが正しい」といった「正しい」「間違い」の議論を始める前に、そもそもそれはどういう状況で起こっているのか、それを語っている人はどんなことを狙ってその行動をとったのか、その時にどんな制約条件があったのかといったことを十分に確認する。それをしないまま行われる議論は、そもそも議論にすらなっておらず、「自分の正しさを証明する」ためのものでしかないということを自覚すれば、世の中の無用な軋轢は減らせるのではないかと思います。(p.268)
「具体⇄抽象」トレーニング|細谷功
日々ニュースで取り上げられる舌戦やネット上の口論も、きっとほぼ全てが、具体〜抽象のどの位置関係にあるかを意識して行われてはいないのではないでしょうか。
抽象は1つもしくはごく少数のみなので、それに合わない具体例なんぞいくらでも挙げることができます。
自分は納得できないから、現に許容し難い扱いを受けているから徹底的に反抗する。
その姿勢自体を非難するわけではないですが、少し冷静になり、世の中には様々な人がいて、様々な事例が起こることを思い出し、物事を俯瞰して見る努力ができれば、貴重な時間の浪費をなくせるかもしれません。
ただ、「言うは易し行うは難し」ですね。
私もすぐに使いこなせるものではありませんが、人と話していて「どうも噛み合わないな」と気付いた時は、互いの抽象度の違いを確認するということをしてみたいと思います。
具体⇄抽象が得意になるとできること
具体⇄抽象の行き来が得意になると、例えばある話題からその本質を抜き取って別の話題に移り、そこから考えを深めるなどのことができるようになります。
例えば、よく話題になる「持ち家or賃貸」論争。
これらは、「持ち家」と「賃貸」の比較についてのみの話なのでしょうか。
本質(抽象的に)を考えた時、持ち家とはすなわち購入で、賃貸はレンタルであるとわかります。
ここから例えば、DVDや漫画は購入して手元に置くか、レンタルして満足かという話題に移ることができます。
すると、家というものの見方が違っていたのか、値段のどのあたりから許容範囲が変わるのか、他人のお古が苦手なのかという視点から、話し合うべき個別具体的な論点を浮き彫りにすることができるかもしれません。
また、「持ち家or賃貸」「購入orレンタル」に留まらず、さらに別の領域にも飛ぶことができます。
「持ち家or賃貸」から始まった議論が、例えば雇用関係の正社員と派遣社員の差を考えたり、自社で行っているサブスクサービスを顧客に継続させるためのヒントになったりするのです。
このように、具体⇄抽象が得意になると、問題を別の視点から観察することで解決の方法を得ることができるようになります。
また、物事の本質を見抜けるようになるので、既知の情報を掛け合わせて新しいアイデアを生み出せるようにもなります。
順序としては、「具体→抽象→具体」を繰り返すことでその能力を磨くことができます。
ある具体例Aから問題の本質を抜き取り、別の具体例Bに応用させて考える。
街で見かけるポスター、ニュースで取り上げられた話題、友人との何気ない会話など。
それら1つの具体的なものを、ただ表面的に見てその場だけのものとしてしまってはそれ以上にはなりません。
抽象的なものを取り出し、他の具体的な物事に置き換え、さらに全く別のところから持ってきた知識と組み合わせて考える。
こうした自由で創造的な思考活動が、具体⇄抽象が得意になると可能になるのです。
まとめ
1|抽象と具体の違い
→ 抽象と具体はピラミッドの頂点と底辺の関係性にある。抽象は1つ若しくはごく少数なのに対し、具体は無数に存在し得る。
2|噛み合わない会話をなくす
→ お互いの抽象度が違うままにされる会話は噛み合わない。抽象論に反論できる具体例は無数に存在する。抽象度を確認することで建設的な会話にできる。
3|具体⇄抽象が得意になるとできること
→ ある具体的な事例から本質を抜き取り、別の具体的な問題に応用して考えるヒントにすることができる。自由で創造的な思考活動ができる。
以上で細谷功著「「具体⇄抽象」トレーニング」の紹介を終わります。
いかがでしたでしょうか。
「相手の抽象度を理解しようとせず自論をぶつけ合う議論は議論と呼べず、ただ自分の正しさを認めさせようとするものである」という著者の見解は、反抗しあう議論を冷静に見るための偉大な助言に思えました。
私も不毛な話し合いをせずに済むよう、話を可能な限り構造化して捉えられるように努力していきます。
また、「抽象は1つ、具体は無数」という当然のことに今まで気付けずにいたので、本書を読んだおかげで物事を全く違う見方で見れるようになった気がします!
今回紹介した内容は書籍のほんの一部に過ぎず、まだまだ沢山の知識、知恵、アドバイスなどが掲載されていますので、是非実際手に取って読んでいただきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みをダイレクトに解決する何かと出会えるかもしれません。
SS(書籍最高)!
それではまた。
コメント